「はい」


目の前にいきなりレポート用紙が現れて、レポート用紙の上からその先を覗くと片平妃來が不機嫌そうな顔をしていた。


「もしかして、このレポート用紙はさっきの」


レポート用紙を手に取ると、妃來はより一層不機嫌な顔になった。

けど、そんなことは御構い無し。

今の俺はこのレポート用紙だけで生きていける、そんな大袈裟なことを思えるくらいにテンションが上がっていた。


「さんきゅー、妃來。

さすがは二年で百二十単位取っただけはあるよ。

もう、学校とか週一だろ」


自分でも都合のいいことを言っているのは分かるが、それでもテンションが高い今の俺にはどうだっていいさ。

左隣で空がまだ膨れっ面をしていて、その顔が可笑しくてついつい笑いそうになってしまうのもこのテンションのせいだろう。


「週三は来ているよ。

ただ、あんたたちと一緒の授業があんまり無いだけ」


「それでも、週三だろ。

俺と一葉なんて、毎日二つは履修してるんだぜ」


「偉そうに言うなよ。

それに俺は月曜と金曜の端は授業一つだけだから一緒にするな」


「私からすれば、二人とも一緒だよ」


「確かに」


一葉と同時に言い、席を立った。



本来なら俺は三限も授業なのだが、先週に夏休みの課題を発表したため今日は休講になった。

だから、三人とも午後からの授業はないということで学校の近くに住んでいる一葉のマンションで昼飯を食べる約束をしていたのだ。

しかし、二限の授業に出られなかった俺は一体何のために学校に来たのだろう・・・