「まさか、前期の最後の授業に欠席とはな」


相変わらずの鼻声で、笑いながら一葉は俺の真正面の席に座ってきた。

その表情を見ると、二限にあると言っていたテストの出来は上々のようだ。


「俺だって好きで寝坊して、好きで休んだわけじゃないよ・・・」


横目で空のほうを見て、大きくため息をつく。

そして、空から視線を逸らし窓の外を見て、もう一度大きくため息をつく。

外の天気は夏らしく日差しが強く、歩いているだけで汗をかいている学生を見ると、冷房の効いている食堂とは違い相当暑そうだ。


「空が起こさなかったからとか、別にいいんだけど」


「もう、また私のせいですか」


もう一度、横目で空を見ると両手をジタバタさせていた。

いつものテンションで見ると面白くてからかうのにこれ以上ない光景なのだが、二限を欠席扱いになり夏休みのレポート課題を貰えなかった今の俺にはため息しか出てこない。


「いや、お前のせいとか思ってないよ。

ていうか、幽霊だから今はいいけど、それすげえ他の人に迷惑掛かるから」


手のひらで追い払うようにすると、空は余計強くジタバタさせて怒った。


「何だ、喧嘩か?

お前らすっかり仲良しだな」


「これのどこが仲良しだよ」


また、ため息が出てしまった。

一体、この食堂で俺は何回ため息を出しているのだろう。