相変わらず食堂は凄い混雑していて、食券を買うのに一苦労、買ってから貰うまでも一苦労。

うちの大学は食堂が全部で九個あるというのに、どの食堂もいつも満員だ。

それだけ学生が多いのだが、九個もあればどこか一つくらいは空いていてくれてもいいといつも思う。

ここの食堂ではいつもAランチを食べていて、やっぱり今日もAランチをお盆に乗せて端の席へと向かう。


「あれ、端っこの席嫌いじゃなかったっけ」


さすがは俺の親友だ。

俺は端は嫌いで、いつもは真ん中付近、少なくとも端では絶対に食べたりはしない。

だけど、今日は真ん中に座ると・・・


「別にただの気まぐれだよ」


そう言って、窓際の端の席に座った。



横目で一葉を見ると、ニヤニヤと笑ってこちらを見ている。

やっぱり、親友だ。

俺の考えていることを分かっているのだろう。


「いい奴だろ。

真ん中だと、あんたが居づらいと思って端っこを選んだんだぜ」


一葉には女の子は見えていないのだが、視線は偶然にも女の子方に向いていて、まるで見えていて話しかけているようだった。

女の子もそう思ったのか、かなり焦っている。


「大丈夫だよ。

一葉は霊感が無いからお前のことは見えていないよ。

目が合っているのもただの偶然だよ」


「お前ってことは歳は俺たちと同じか下か。

それに、この方向にいるってことでいいんだな」


そう言っても、女の子はまだ焦っているようだった。

いや、焦っているというよりは緊張しているのかもしれない。

だって・・・

すげえ、背筋伸ばして口元がきゅっと引き締まって、もしかしたら汗でもかいているんじゃないかってくらい顔が強張っているから・・・