結局、この時間ではそんなに多くのことを聞かれなかったし、時間も五分ほどしかなかったので予想したよりも会話はずっと少なかった。

それでも、朝のときのように泣き出しそうにはならなかったし、それどころか優しく微笑んでいたようにも思う。

女の考えていることは俺にはさっぱり分からないが、静かで全く苦にもならなかったし、とりあえずは助かった。



二限の始まりを告げるチャイムが鳴り、六号館から出て次の授業の教室へと移動する。

もちろん、女の子は俺の後ろを歩いて付いてくる。


「テスト頑張ってくださいね」


言われたその一言に嬉しくなって、右手で拳を作り軽く上げて小さくガッツポーズをした。

それを見て、女の子は俺の弱いであろう笑顔を見せた。



その笑顔を見て、少しだけ足早になったのは嬉しいからなのだろうか。

それとも、二限の授業がもう始まっているからだろうか・・・



でも、一つだけ確実に言えることは・・・

どうやら、俺は本当にこの笑顔に弱いようだ。