~甲斐~

「ここは...。」

幸村の視界には彌琴が写った。

「気が付いた?..大丈夫ここは甲斐だよ」

「彌琴殿?拙者はいったい...。」

「佐助さんが連れてきてくれたんだ..もうすぐ信玄さんも帰ってくるって」

「そうか...」

「かっこよかったです」

「え?」

「あっ..いえ何でもありません」

彌琴はいったん部屋を出た。

「言っちゃえばいいのに..」

彼の声は透き通った声で肌は白く鮮やかで、白みの掛かった水色の髪、瞳の色は黄色く輝いている。服装は派手に着飾った南蛮風の着物。まるで人ではない。

「雅(みやび)..出てきちゃ駄目だよ。」

「クス....」

雅と呼ばれた男はどこかに姿を消した。

「ほら..月駕(げつが)も..。」

「失礼....。」

彼の声も透き通っていて、肌白く鮮やかで、真っ白な雪のように白い髪、瞳の色は赤く見ていると吸い込まれそうになる。服装は白い着物でその上に白い羽織を着ている。同じくまるで人間ではない。

月駕もどこかに消えた。

「ケホケホ....こんな力いらなかった」