「そりゃ幸せになんかなれないよ」
キッパリといつもながら断言してくれたのは、親友の山本麻由。

麻由は会社の同期だが、去年退職して現在美容系の専門学校に通って資格の取得を目指している。

「いつも言ってるけど、坂井は優子の気持ちに付け込んで甘えてるだけだって!」
もちろん去年まで同じ職場だったので麻由と直之も顔見知り。
麻由は更に厳しく言う。
「優子の事は好き、でも家庭も大事。そんなのずるいじゃん!」
耳にタコができそうなくらい言われつづけてるけど、言われなくてもちゃんと私だってわかってる。

私は都合のいい女なんだって。

「私さ、結婚考えてみようかな」