高原くんが連れて来てくれたのはすぐ近くのランチがある定食の店。

社内食堂は混むので高原くんはこの定食屋をよく利用するらしい。

オススメの鯖煮定食を頼んだ。

「平林くん、俺が桜川さんをランチに連れて行ったら驚いていたね」
高原くんはどこかおもしろそうに言った。
「平林さんにランチ誘ってもらったんだけど、高原くんと約束していたからね」
「平林くん、同い年の女子社員が来たもんだから浮かれてるんじゃないか?」
高原くんの眉間にシワが寄る。

高原くんと私の関係は友達以上、でも恋人ではない。

お互い一緒にいて楽しいし、すごく自然。

だけど恋愛感情なのかはわからない。

高原くんも私に何も求めないし、何もしない。

「ほら鯖煮定食が来たよ」
おいしそうに鯖煮定食を食べる高原くんを見ているとなんかそれで充分な気がした。