それから涙が止まらなくて、そのまま床に座ったまま立ち上がる事もできなかった。

何分、何時間過ぎたのかわからない。

玄関のインターホンが鳴るそして扉の開く音。

直之が戻って来たのかと身を硬くする。

「桜川さん!」
入って来たのは高原くんだった。
床に座りこんでいる私の姿を見つけると駆け寄って来た。

「何があった?!」
本気で心配してくれるのがわかった。
なんだか安心したのと情けないのと恥ずかしいのでまた涙が溢れた。

高原くんはそんな私の体を優しく抱き寄せた。
まるで壊れ物のように抱きしめた。

「俺がそばにいるから」

私は寒かった体と心が温かくなるのを感じた。