直之は私を好きにした後、すぐに服を着て帰って行った。

体も心も痛い。
寒い。
寂しい。

会いたい。

引き裂かれそうな心でそう思った。

落ちている携帯電話を拾う。

でもなんて言ったらいい?

こんな私を見たらどう思う?

握りしめた携帯が不意に着信する。
ビックリして落としたら通話して声が聞こえた。

『桜川さん?もしもし?』
高原くんの穏やかな声。
それを聞いていたら涙が出た。

『桜川さん?どうしたの?泣いてるの?今、家?』
心配してくれる声。

私は通話を切った。
これ以上高原くんに迷惑かけられない。

そしてこんな惨めな姿見せたくなかった。