目の前に座る高原くんはなんだかシュンとしている。

「ゴメン」

どうやら結局は酔った勢いでやってしまったらしい。

でも本当に申し訳なさそうにしている高原くんを見ていたら怒る気も失せた。

っていうか酔った勢いで誘ったのはたぶん私だ。
高原くんがその辺り言いにくそうに話していたからたぶんそうだ。

「私もごめん」
謝ったら高原くんが顔を上げてビックリしたように言った。
「桜川さんは悪くないよ!飲んでたとはいえ自制心がない俺が悪い」
「それ言ったら私もそうじゃん」
なんか笑ってしまう。
「何笑ってんの」
「まじめ」
「まじめって、桜川さん…いつもこんな感じなの?」
高原くんが少し引き気味に聞いてきたので慌てて否定する。
「違う!変な誤解しないでよ!」
酔った勢いで…なんて私だって生まれて初めてだ。
そう言うと高原くんはホッとした表情になる。
「よかった。桜川さんすごく可愛かったんだ。」
「え?」
「俺も酔った勢いとか本当は絶対やりたくないしやらないと思っていたんだけど…桜川さんがあまりにも可愛くて理性も信念も何もかも飛んだ。こんなの生まれて初めてだ。」

高原くんがすごく可愛く見えた。
なんか胸に温かいものが広がる。

「とりあえず、朝ごはん食べよ」
照れ隠しに私はそう言ってキッチンに立った。