「それがね、その相手があの電気機器で有名な“柊”さんの1人息子なの。柊、徹平君」
「…ヒイラギ、テッペイ」
とりえあず、名前を呟いてみた。
「琴乃は彼氏とかいないんだし、とりあえず一回会って見たら?嫌だったら、断ればいいんだし」
お母さんは、私にどうするのかを決めさせようとしている優しい人だ。
でも私は、頭がぐるぐると何も考えられない。
「・・・・・」
訳分からない。何でこんなに、ぐるぐるとなっているんだろう。
別にいいじゃないか。私には好きな人がいないんだし―――。
なのに、どうしてこんな気持ちになるんだ。
「………ちょっと、考えさせて――」
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