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「琴乃、似合うじゃない」



鏡越しでお母さんが嬉しそうに笑う。




「千夏の服、似合わないって言って着なかったけど十分似合うわよ」




鏡に映っている私は、黒のシックなワンピースを着用しセミロングの髪をアップにしていた。




「うーん…」




やっぱりお姉ちゃんって、こういう大人っぽい色とかが似合うんだよねと私はこれを着てみて、改めて思った。





結婚して数ヶ月程前に妊娠が発覚した私の姉、旧姓野口千夏。




今の名前は本多千夏。




私と大分年が離れているお姉ちゃんの特徴を一言で言うならば、大人の女だ。





この大人っぽいワンピースを高校生で着こなしたらしいし。





一方の私はと言うと、どうにも子供っぽさが抜けていないらしい。





一番似合う服はブルーというのが、それを象徴している気がする。