「あの病院の娘って…もしかして、琴乃ちゃんじゃないの?」





「琴乃?」





誰だ?その女は?





「私の高校時代のクラスメイトよ。




いや、でもまさかあの琴乃ちゃんが徹平の婚約者になるとは思わなかったわ」






人生何が起こるか分からないわね、と梨恵子は笑い私もそろそろ身を固める頃かしら?…とまたカクテルを飲む。







「彼女、婚約者とか凄い大好物だったから夢が叶って良かったんじゃない?」






大好物?何だ、それ。






意味が分からず、眉を顰めると梨恵子は得意げに





「野口琴乃を知らない人間なんていなかったわ。




野口病院の娘という肩書きを持ち、顔は美人だというお姉さんに似て可愛かったし。あれさえなければ、凄いもてたのだろうけれど…」