いつだって、お前は俺の傍にいなかった。育ててもらうなんてもってのほかだ。
俺を育てたのは母親だった。いつも帰って来ない夫を1人で待っていて―――。
それなのに、この男はその母親の気持ちも考えずに今まで何もかも1人で勝手に決めて有意義に生きてきた。
そして……この男は、今度は俺の人生までも決めようとしてる。
憎たらしかったこの男の財産であるこの馬鹿広い家も、高級車の車も全て―――消し去ってしまいたい。
だから、わざとダメだと言われている事をする為に俺はここに来ている。
………でも、俺はちゃんと分かってる。
こんなのはあの男にとっては、ちょっとの反抗だって。
アイツが本気になれば、このバーを買い取るぐらい出来てしまうって事に……気付いてる。