「婚約者なんて聞いた事ねぇぞ」
ふざけてると言いたげに、親父を睨むと
「この間、野口病院の院長と話して決めた事だ。とりあえず…仮にだが」
「仮に?」
「まだ未決定だ。決めるのは、会ってからにしたいというのが向こうの意見だからそれに従う事にしたけど…
まぁ、殆ど決定な話だからお前はただ柊家として、恥のない態度を取ればいい。だからこれからは、夜遊びなんて厳禁だからな。お前の行動が柊の価値を下げ――――」
頭痛がした。
もう、マジでいい加減にしろよ。
「ふざけんなよ、クソ親父」
「おい、父親に向かってクソ親父とはお前口の利き方を気をつけろよ。誰のおかげで、ここまで育ってこれたと思ってんだ」
「お前に育てられた覚えはねぇ!」