「二宮!こっちこっち!」
ライブハウスの前で、川上くんが待っていた。
「さっき本多から来れないって連絡あったよ。
二宮、ひとりで来てくれたんだよな。ありがとな。」
「あ、うん・・・。」
すると、向こうからナオトくんがやってきた。
・・・ドキ。
最初より意識しまくっているので、もっと顔が見れない。
「おっす!」
「おす・・・。」
うわ、なんだかアコがいないと調子が出ないや・・・。
「これ、やる。」
ナオトくんが、私の手になにかを握らせた。
手にナオトくんの指がふれて、ドキっとする。
いちごミルクって書いてある、紙パックのジュースだった。
「あ、ありがとう・・・。」
どうしよう、また顔が赤くなる。
「それ、中じゃ持ち込みできないから、ここで飲んだらいい。」
「あ、うん・・・。」
私たち3人は、ライブハウスの前にある花壇のはしに座った。
「川上!」
遠くから声がして、
川上くんは、お客さんらしきその人のほうへ走っていった。
・・・ど、どうしよう、ナオトくんと二人きり。
嬉しくもあったが、緊張して逃げ出したい気持ちだった。
元々ひとみしりな私は、話題が見つからなくて、
黙ってジュースを飲んでいた。
「二ノちゃん、それ、そんなに旨いか?」
ナオトくんが笑ってそう言った。
一瞬、時が止まった。
・・・ドキン。
また、心臓が跳ねる。
二ノちゃん・・・二ノちゃんって呼んだよね?いま・・・・。
私はこの時、恋に落ちたのかもしれない。
最近ナオトくんのことで・・・心臓がうるさいの。