川上くんたちのバンド、『jellyfish』の次のライブが、
待ち遠しくてしかたなかった。
スペギャンの曲を演奏しているのを、もっと聴きたかったし、
・・・なにより、ナオトくんに会いたかった。
「アコ〜・・・ナオトくんに会いたいよ〜。」
良さそうなリップグロスがあるとアコが言って、
私たちはそれを買いに、今日も、アコと一緒に街に出た。
「あと一週間のガマンだよ。」
買い物を終えて、カフェで温かい物を飲んだ。
「う〜あと一週間もあるのか。」
「待ち遠しいね。」
「うん!」
アコに気になってると伝えてから、
どんどんナオトくんが気になっている。
スペギャンも、前よりもっと好きになった。
まだ一回しか会ったことのない人を、
こんな風に思うのははじめてだった。
「あ〜私も恋したいなあ!」
アコがため息をついて言った。
「ご〜め〜ん!二ノ!!
カゼひいちゃってさあ・・・。」
ライブ当日の朝、鼻をぐすぐす言わせたアコから電話があった。
「そうなんだ・・・。」
「二ノは、ライブ行っておいでよ。」
「えーでも・・・。」
「川上いるから大丈夫だって!」
そういうワケで、私はいま一人でライブハウスに向かっている。
ひとみしりの私にしたら、これは快挙だ。