「あれ?こっち?」

しかしホームで、またナオトくんに会った。

心臓がまた跳ねる。


「うん。」

「オレ、五日市で降りるんだけど。」

「え?私たち、希望ヶ丘。」


ドキドキしているのがバレてしまいそうで、

アコとナオトくんが、話しているのをただ聞くだけだった。


「となりじゃん。」

「もしかして中学校って・・・。」

「五日市中。」

「わ、中学もとなりだ。」

「じゃあ、希望ヶ丘中?」

「そう。」

「近いな。」

「うん。」


家の位置を言い合うと、

なんとなく、どこに家があるか分かる距離だ。


「じゃあ、せっかくだし一緒に帰るか?」

アコはナオトくんにそう言った。



さっきからドキドキしっぱなしだよ・・・。


電車にゆられながら、こっそりナオトくんの顔を見る。


ナオトくんは、もう暗くなってしまった電車の窓の外をぼんやり見つめていた。



もう帰ったと思ったナオトくんが、ホームに立っていた時、


・・・・・・嬉しい。


そう思っている自分に、ちょっとびっくりする。


希望ヶ丘に着くと、


「また二週間後!」

私たちは、ナオトくんに向かって手を振った。



アコと家までの道を歩いた。

「二ノ〜。」

「ん?」

「もしかして、ナオトくん気になってる?」

アコはニヤニヤして言った。

「え・・・。」

「絶対そうだ。私わかるもん。」

「・・・わかっちゃった?」

「あたりまえでしょ〜?

 何年二ノの親友やってると思ってんの!」


「へへ、そっかあ。」

「そうだよ。」

「アコはすごいなあ。」

「ふふ・・・ねえ。」

「ん?」

「次のライブ、絶対行こうね。」

「・・・うん!」


アコ、大好き!