昨日ママに買ってもらった、ステッカーをカバンに貼った。
それは大好きなミュージシャン・・・
『space gangstar』、
略して『スペギャン』のグッズだった。
黒をバックに、
赤でってバンドのロゴがかかれてあって、
すごーく、かっこいいんだ。
「ニーノ!今日、カラオケ行こうっ♪」
親友の本多亜子が誘ってくれた。
私は勢いよく頷いた。
歌うのは、ちいさい頃から大好きだった。
「二宮さあ。」
後ろから声がして、
私はそっちを振り向く。
「お前、スペギャン好きなの?」
後ろの席にいる川上くんが、
私のしたじきを指して言った。
「あ、うん。大好き。」
「オレも〜。」
それが・・・
キミと出逢える、キッカケだったよね。
「オレ、バンドやってんだ。」
川上くんは、照れくさそうに言った。
「えっ?!そうなの?」
「うん・・・良かったら、ライブ来てよ。
今度の土曜日。
スペギャンの曲するし。」
「スペギャンの曲するの?!すごいじゃん!!」
「うん・・・まあ、下手だけどな。」
「もちろん、行くよ!!すっごい楽しみ!!アコも行くよね?!」
おもしろそうに話を聞いていたアコに、そう言った。
「うん!行きたい!」
アコも笑顔でそう言った。
その日の帰り道。
「今日帰りはカラオケじゃなくて、ドラッグストアだね!」
おこづかいの少ない私達は、
いつもドラッグストアの安いメイク道具を買う。
「そんなに気合い入れなきゃいけないのかな〜?」
私が言うと、アコが笑う。
「まあ、いちおうだよ。」
この日のアコは、なにかを察知していたのかな。
私はいまになって、そう思う。