アナウンスが流れてきたので、もうじき電車がくるだろう。

辺りを見渡してもう一度真人を探すが、いない。


――――電車がもう見えてきた。


僕はいつもの癖で電車が前に来る前に黄色い線より一歩前へ踏み出した。


「おーーーいっ」


ふと真人の声が耳に入ってきた。僕はぱっと振り返ると真人が階段をかけ降りているのが見えた。

しかし、雨で濡れた地面は、急な動作を起こした僕が滑るには十分すぎた。

みるみる態勢を沈めていく僕は、当然線路にはみ出していて、すぐそばまで電車がせまっていた。

恐怖はなぜかなかった。なぜかこうなると頭が…………いや、むしろ体がしっているような感じさえあった。


じゃあな真人
別に恨みはしないよ。

………りく
ごめんな、助けて欲しいがこれはもうだめだわ…………


――――キュィィン、ガタン……ガタン……ガタン………………………………