「サユ…ごめん、もう行かなきゃだ」


戻ってきた彼は、苦しそうな顔をしていた。


「うん、分かった…」


一つ頷き、アタシは荷物をもって玄関へと向かった。


なんて呆気ないものなんだろう。


こんなわかれかたがあるなんて…。


こぼれそうな涙を、必死に押さえた。




――将来はさ、子供五人くらいほしいよな


――サユは良い奥さんになるよ


――ずっと一緒にいよう…





好きって気持ちが今にでも溢れそう。





「サユあのさ、」