莞との思い出、
形になってる物は少なかった



よっ、と立ち上がり
思い立ったように机の引き出しを
あさりまくった




少しだけ顔を覗かせた
莞との形があたしの心臓を
チクチクと刺す




初々しくはにかむ莞の横で
とにかくピースをするあたし
のプリクラ


あのどこか狭くどこか
異様に寂しくなる空間で
恥ずかしい気持ちを押さえ込み
莞に「プリ撮ろう」と
言ったあの場面が頭によみがえる





「いいよ」

と簡潔だけどふわっと
柔らかく笑う莞を見て
本当に言って良かった、と
プリクラの空間でじんわり思ってた