電話の向こう側で
すみれが言葉を詰まらせた




「...じゃあ、何か夜遅く
 ごめんっけね、..明日ね」



歯切りが悪いあたしは
歯切りの悪さを残したまま


電話の向こうで
小さい声で「うん、また明日」
と言うすみれの声を聞き電源を切った




ごめん、すみれ


「..はる?電話終わった?」

「うん」

「..明日学校行ける?」




不安気に受話器を握り締める
あたしをそっ、と覗きに来た
お母さんは抜け殻みたいな
あたしにそっと声をかけた