「…」

「……悔しいけど。悲しいけど、忘れられないんだ。湊斗のこと」



そう。
忘れられないの。

アイツのこと。



「…うん」

「私に嘘吐いたんだから、忘れてやろうって…思ってたのに…」

「…うん」

「私に嘘吐いたこと、後悔させてやろうって思ってたのに…」



なのに、


「…うん」

「…私が忘れられないの」


後悔させるどころか、
私が、忘れられずにいた。


好きすぎて、
愛しすぎて、
あなたの存在が4年経った今でも私の中でこんなにも大きくて。



「…うん」

「けど、忘れられないのも結構苦しいんだ…」



いないからこそ、忘れたくない。
忘れちゃ、いけない。

あなたがいたという、記憶を。


けど、それさえも苦しくて仕方がない。

いないからこそ、苦しい。