『はい』
『…朋香です』
『入れ』
ドアの中からそう返事が返ってきたので
『失礼します』
と入った。
ソファーに座れと目で合図して来たので、あたしは大人しく座った。
…あたしに『一体、何の用?』と言いたいところを抑え、おとなしく座った。
『……あの…』
学校では威張っているあたしだが、父の前ではこんなに情けない姿となる。
親の前では怖くてできない愚か者なのだ。
『…お前は、“沖名 湊斗”という子を知っているか?』
と父は聞いた。
……沖名 湊斗…?
知っているも何も、あたしの好きな人、ですけど…?
とも言えずに、
『はい、同じ学校の方ですけど…それが何か?』
とあたしは言った。
すると…