…あの日。
―――あの夏の日から。
彼とはもう逢えない。
もう二度と。
巡り合うことはないのだ。
もう君の魂が、肉体が、この世にないからで。
それを未だに私は信じられずにいる。
まだ、生きているんじゃないのかって。
まだ、どこかにいるんじゃないのかって。
そう思い続けていた。
「…だから、陽愛がまだ乗り越えられないのも無理はないわよ」
「…ありがとう」
彼とは幼なじみ、と言う程ではないが、腐れ縁で、憂依と一緒に小中高とずっと一緒だった。
中学の卒業式の後、
湊斗は私に告白してくれて、それ以来ずっと付き合っていた。
「…もう、忘れなきゃね」
「…陽愛……」
「…忘れなきゃ。忘れなきゃ、いけないのよ。私のために。…いつまでも引きずってちゃ、始まらないもの」
あれからもう3年以上経っているのに、いつまでも忘れられずにいた。
お葬式にも、『身内だけでしたい』と言うお母様の希望で行けなかった。
元々、私は行けなかったと思うけど。
…信じたく、なかったから。
湊斗が亡くなったという事実を。