―――あたしには、想っていた人がいた。
高校に入ってから、ずっと好きだった人がいた。
それが、
―――沖名 湊斗、彼だった。
あたしが彼の存在を知ったのは、高校の入学式だった。
『ねぇ、朋香ぁ』
『何よ』
『あの人、ずば抜けてカッコよくない?』
当時、つるんでいた奴が指差したのが、湊斗だった。
湊斗は入学式でも目立っていて、すぐに彼の名は全校に広まっていた。
それと同時に、上級生からも一目置かれるほど、モテていた。
それと同時にすごくずば抜けて可愛い子がいた。
それが、片倉 陽愛だった。
モデル顔負けの小顔、スタイル、なにより、すごく性格がいいみたいだ。
陽愛はあたしに、
『あの、香水落ちましたよ』
怯えることもなく、普通に言ってくれた。
『…ありがとう』
『いえっ。
あの!いつも思っていたんですけどその金髪、似合ってますね!』
にっこりと笑いかけてくれた。
あたしには彼女が天使だと思った。