目の前には幸せそうなカップル。
腕を組みながら彼女は微笑みながら楽しそうに話し、彼氏はそれを愛おしそうに見つめている。
…いかにも幸せって感じが溢れている。
…あたしにも、あんな日が来るのだろうか。
愛しい彼の隣に立ち、
何の話をしても、
何をしていても彼となら楽しくて、幸せだと感じるときが。
あたしにも、来るのかな。
「朋香ちゃん!着替えてみたよ!」
陽愛があたしを呼ぶ。
あたしは陽愛のいる試着室の方に行き、見てみると、
…すごく可愛かった。
同性のあたしが言うのも何だけど、あたしがもし男なら絶対彼女にしたいくらい。
「可愛いじゃん!買っちゃいなよ!」
「ほんと?ありがとう!
でもどうしようかなぁ…」
悩んでる姿も、本当に可愛い。
今に思ったことではないけれど、何をしていても、陽愛は本当に可愛い。
…高校の頃から、あたしはずっと陽愛に憧れていた。
男女誰と問わず明るく、誰にでも優しい彼女に。
いつも人に囲まれている彼女に。
―――彼に想われる、彼女に。
あたしは憧れていた。