「…嘘だよ」
「え…」
「嘘に決まってんだろ?
麻酔が掛かって、意識が遠くなるまで…陽愛を忘れてたことなんてねぇよ」
私、幸せ者だね。
こんなに愛してくれる人がいるんだもの。
―――神様。
湊斗と巡り合わせてくれて、本当にありがとう。
湊斗を、守ってくれてありがとう。
また巡り合わせてくれて、本当にありがとう。
「湊斗―――」
「俺には自信がなかった」
「…え?」
一体、何の事を言っているのだろうかと思っていたら、
「…突然、姿を消してごめん」
「…」
あのことだった。
「…あの頃、俺は無力で何もできなかった。
…元々心臓が弱くて、手術をいつかは受けないといけなかった。
…俺は今まで、『死ぬかもしれない手術を受けるくらいなら死んでもいい』って思ってた。
―――だけど」
「…だけど?」