『さよなら』は“別れ”じゃない。

『さよなら』は“はじまり”だから…。



「…よしっ」



私は漸【ようや】く、自分の心に決心が着いた。

家に帰ろうとした、
その時―――。



「…片倉さん…」



突然、私を呼ぶ声が聞こえた。


…この、声は…



「…何の、用ですか…?」

「…」

「…私に、一体…」

「…」

「…私には、話すことなんて―――」



『話すことなんてない』と言おうとした瞬間―――。