イルカとシャチの大ジャンプを見る合間に仁志をチラッと見てみると、シャチにだけ興奮してる。

その姿は可愛い。

今日だけ、彼女なんだよね?

失恋したなら、私に重ねて良いよ。

泣きたいなら、涙を拭いてあげる。

ギュッと手を握ると、仁志は驚いた顔をした。

私は小さく笑って、プールに視線を向けた。

助けてくれたお礼。

…楽しい時間をありがとう。



「あのイルカ可愛いね」



「“蘇我入鹿、可愛いね”?」



…ツンボなの?;;

それともギャグ?

私は苦笑しながらも、聞かなかった事にした。

何と返して良いのか、わからないから。