雪乃が俺の左足を離すまいと
抱き着いている。


「…やだ。」

「やだって何が?」

「家に帰りたくない。」

そう言って、「ごめんなさい。我が儘だけど許して…。」

雪乃が上目遣いで訴えてくる。

…困った。俺は雪乃の上目遣いに弱い。
あの壊れそうな感じがどうして
良いかわからなくなる。


「うーん…。そうは言ってもな…、雪乃の親が心配するだろ?」

「しない。」

おい、キッパリと言い切りやがった。