「あんたが二人を守るって決めた時、きっとそれはあんたの本音だったでしょ?」




「………」




「義務にしないの。やらなきゃじゃない。やりたいと思いなさい。」






やりたいと、思え…?






「そしたらほら、きっと答えてくれるから。」






美秋先輩が指差す方には、俺の携帯。






「……彩乃…」






ピカピカと光る画面には、彩乃という文字が浮かんでいた。






{大和!禁止令終了!

今すぐ家まで来て下さい!

斗真と二人で待ってるからね☆}







禁止令、終了!?






「美秋先輩、俺!」



「彩乃のとこでしょ?はやく行きなよ」



「ありがとうございました!」







大学から出て、全速力で彩乃の家まで走る。






美秋先輩の言ってた通りだった。





いつの間にか、俺の誓いは自分の思いから義務に変わってた





義務だから、やらなきゃ。守ってあげなきゃっていつも独りよがりで、





上手くいかなくて不安で、怖くて…






だけどそれってただの自己満足を得たいがためで、彩乃の気持ちも斗真の気持ちも全部無視だったのかもしれない。






いつからか義務として巻き付いていた鎖を解き放てばほら、






「「父の日(ちちのひ)おめでとうー!」」






大好きな二人の笑顔が見られるから。