でも。
歌うってくらいだから今彼は機嫌がいいのかな。
そう思ったら
ちょっとアタシも楽しくなった。
「なあ、
それってなんて曲?」
「the sky is blue ……」
ん?
最後のほう、
聞き取れなかったけど。
雨なのにスカイブルーとか…
変なの。
「なあってば!」
「but it's raining…」
あれ?雨?
振り向くこともせず答えもしない。
もう。
そしてアタシは彼の背中を見つめ思った。
結局
彼はコウセイとアタシのあのやりとりを見ていたくせに。
こうしてアタシを待っていたくせに。
最初に「大丈夫か?」って聞いて。
それからコウセイのことは一言も聞かなかった。
そんなこと、
思った。

