日向がバイトしている喫茶店は家から歩いて行ける距離にある。


俺は喫茶店の扉を開けた。


カランカランというベタな音が出迎えてくれる。
落ち着いた雰囲気の店内にはニ、三人客がいるだけで静かなものだった。

俺は真っ先にカウンターで食器を拭いている店長に声をかけた。


「あいつは?」

日向や日向の母とも仲が良いらしい店長は俺の事も知っており

「あいつって日向ちゃんの事か?」

と聞いてきた。

俺が頷くと店長は


「日向ちゃんなら仕事も終わって帰ったよ」

と予想していた答えを返してきた。


その答えを聞き終わる前に俺は店から飛び出していた。