キーンコーン…
始業の合図のチャイムが鳴る。
先生が教室のドアを開けたと同時に
皆どたどたと席に戻っていく。
いつもの見慣れた風景。
なんら変わりないいつもと同じ朝の説教。
制服の着こなしがなってないだ、携帯は校内使用禁止だ
去年から耳にタコが出来るほど聞いている。
そしてお説教が終わったらまたいつものように
提出物の連絡と、授業が始まるのに
今日は担任の様子が違う…?
誰かの作品が賞でも取ったのか?
そう思い、隣の席の林に声をかける。
「今日さ、ハラマキ機嫌良くね?」
「誰か賞でも取ったんじゃねーの?」
俺らの担任、原 牧雄。
…通称、ハラマキ。
残念な名前である。
ハラマキの親も、苗字が「原」と分かっていたなら
「牧雄」なんて名前つけるべきではなかったよなぁ…
「えー…今日は転校生を紹介します。」
ざわっ。
ハラマキが意気揚々と、そう告げると
クラス全体が一気にざわついた。
後ろでは女子が
イケメンかなぁ!?なんて夢みたいなこと話している。
「宮内、イケメンかなぁ!?」
「林、その言い方キモいわ。」
ざわざわざわ。
一向に収まることの無いざわめきに痺れを切らしたハラマキは
大声で廊下に向かって叫んだ。
「寺嶋ー!入って来て良いぞー!!」
ガラッとドアを開ける音、
キュッとタイルを踏む上履きの音、
寺嶋と呼ばれたその生徒は
可愛らしい普通の女の子だった。