今あたしと話しているこいつはナル。
23歳。
ナチュラルブラウンの髪は前髪がちょっと長くて少し目にかかってる。まだ若いのに笑うと目尻にシワが寄る。
腕にいっぱい切り傷と火傷の傷がある。
背はあたしよりちょっと高いから176くらいだと思う。





あたしは今こいつのアパートにいて、
こいつのこたつに潜り込んで寝転がり、
仰向けになって天井を見上げながらキスチョコを食べている。



男と女、
なのに間違いが絶対起きない相手、っていうのが存在するとあたしは思う。
あたしの場合はこいつがそれ。
こんなに無防備な格好をしていても全然危機感なんて感じない。
こいつもあたしのこと、女だと思ってないし。





何個目になるかのキスチョコを
また唇をすぼめて口で弄んでいるとテレビを見ていたナルが体を屈めてあたしにキスをする。


あたしは頭の下で両手を組んで天井をみあげたまま。
おっさんのようなあたしはキスをされても微動だにしない。乙女よろしく顔を赤くするなんてもってのほかだ。

ただ目だけを動かしてナルの目をみつめる。
冗談ぽく笑うナルの顔があたしの目に映った。
あたしもその笑顔につられて口の端を少しだけあげた。