あたしは平静を装ってナルが落としたタバコを足で踏み潰す。
「もうあぶないなぁ」
そんなセリフ取ってつけてなんとかその雰囲気を誤魔化そうとしたかもしれない。




「俺…言っちゃった、よな?」


「“俺の女”?」


「あー…ばかばか。言うな!それ以上なにも言うな!」



ナルはひどく恥ずかしがってなおもあたしを抱きしめてきた。あたしと抱き合っていれば目を合わせる必要がないからだとあたしは思った。
俺を安心させてくれ、と抱きしめてくるこの腕をあたしは振り払うことができなかった。

だけど
振り払わなきゃ…