その時、ベンチに座るあたしの前に誰かが立ち止まった。
視線の先には黒いローファー。
顔を上げる間もなく、
「……アンタ、純恋とどういう関係?」
ドスの効いている低い声が耳に届いた。
えっ……?
驚いて顔を上げると、そこには冷たい表情で達也を見下ろす彼がいた。
それはさっきコーヒーをあげた男の子で。
「ハァ?お前こそ純恋とどういう関係だよ!?」
「アンタに答える必要はない。だって、アンタと純恋ってもう別れたんでしょ?だったら俺がもらってもいいよね?」
「……――チッ。ウゼェな。勝手にしろよ」
めんどくさいことが大っ嫌いな達也は、うんざりした表情を浮かべるとそのまま公園を後にした。