「あの……」


自分から初対面の相手に声をかけることなんて滅多にない。


まして相手は男の子。


だけど、あたしは自分でも不思議なくらい自然と彼に声をかけていた。


「何買おうとしてたの?」


彼の切れ長の目がゆっくりとあたしを捕える。


「コーヒー」


「コーヒー?」


思わず自分が持っている缶コーヒーに視線を落とす。


彼にあげちゃおう。


ううん、違う。もらってもらおう。


「もしよかったら、これあげる」


あたしは迷わず彼にコーヒーを差し出した。