『テメェ、誰だよ。俺に逆らう気か?』


狭山先輩はそう言うと、山城君を一方的に殴り付けた。


何度も殴られ、蹴られ、最後には土下座まで……。


「正直、俺、今まで喧嘩ってしたことなくてさ。もちろん、こんなになるまで殴られたのも初めてだし。ぶっちゃけ、殴られてる間怖くて怖くて堪らなかった」


「……派手にやられたみたいだもんね」


試合後のボクサーのように腫れ上がっているまぶた。


縦に切れてしまっている唇。


顔を重点的にやられたのかもしれない。


「あぁ。見た目はこんなだし全身打撲であちこち痛いけど、どこの骨も折れてなかったのが不幸中の幸いだよ」