隣の席を見ると、チクリと胸が痛んだ。


山城君はどんな気持ちで狭山先輩に向かっていったんだろう。


どんなに頑張ったって、勝てっこない相手に逆らうなんて……。


負けは目に見えている。



でも……不思議だな。


あたし、山城君の気持ちがほんの少しだけ分かる気がするんだ。


だってあの山城君だもん。


温厚で真っ直ぐで、人当たりが良くて誰に対しても優しい。


そして、何よりミナちゃんを一途に愛してた。


ミナちゃんの幸せを願ってた。


だから、山城君は自分の身を危険にさらしてでも、ミナちゃんを助けたんだ。




人は笑うかもしれない。


無謀なことをするなと。


だけど、あたしはそうは思わないよ。


勇気を振り絞って、狭山先輩に立ち向かっていった山城君は、


最高にカッコいいよ。