「それがさぁ、ミナちゃんが三年の先輩に絡まれてるところを見かけて、助けようとしたみたい」


「3年の先輩?」


「そう。狭山(さやま)先輩」


「さ、狭山ってあの狭山先輩?」


「そう。山城君が逆らっても到底かなうような相手じゃないでしょ?」


「……確かに」


狭山先輩はこの学校で知らない人はいないってくらいの有名人。


この近辺を牛耳る不良とも仲が良く、顔が広い先輩。


腕っぷしも強くて、常に不良グループの中心にいる。


しかも、かなりの女好き。


狭山先輩に目をつけられた女子生徒は付き合うまでとことん追いかけ回される。


だけど、いざ自分のものにすると、その女の子をすぐに捨てる。


まるで、ゴミのように。


だから、この学校で狭山先輩に逆らう人などいない。



それなのに、山城君は狭山先輩に逆らった。


ミナちゃんを助けるために……。