「なあ……名前は……」
「無い」
この子の言葉には修飾語がない
「無いって……」
「でも…幼い頃は……別にいい……」
少女は何か言おうとして止めた
理由は分からない
「あのさ…俺は軌道千地 適当に呼んでくれていいから」
「……わかった」
今は昼だけど時間が経つのは早い
少女が段ボールから荷物を出して1つの部屋に入る
「軌道さん 私この部屋つかっていい?」
「えっああ 俺は隣を使うよ」
少女は返事をせず部屋に入っていく
それからしばらくして
少女が出てきた
「お風呂入る」
それだけ言って風呂場に向かう
「普通言うのか?」
少女があがってきた白いTシャツにグレーの短パン
スタスタと俺の前を通りすぎる
俺は少女の後ろ姿を眺める
「!?」
少女の白いシャツからはうっすらと見えたのは
無数の傷跡
切りつけられたのや銃弾の跡がある
「お前背中……」
「……私はある殺し屋のメンバーなの」