そこまで言われたら黙っていられない私も昔『綺麗な女性』より『可愛い女の子』に憧れてイメージチェンジに挑戦してみた事がある。
結果は失敗。いや、大失敗と言った方が正しいか。
三十過ぎのアイドル崩れが必死になって全盛期の可愛さをアピールするような痛々しさ。
ないものねだり。そんな言葉が身に染みた。
友達から「どうしちゃったの? 何か辛い事でもあった? 私達で良ければ相談に乗るから何でも言って」なんて本気で心配された時は素で泣きそうになった。
優しさは時として人を傷付けるのだ。
以後、自分は神様から可愛いなんて表現とは無縁な存在に作られたんだって諦めている訳だ。
まぁ、私は私らしく生きよう。無理して作ってたら息苦しくて仕方がない。
イメージなんて勝手に持たせておけ。イメージとギャップがあるなんてよく言われるけど、それは別に私の所為じゃない。
それだけでも学べたのなら、苦かったけど悪い経験じゃなかった。そう思う事にしている。
「で、結局どうなのよ。あんた達は」
「どうって何の話よ」
要領を得ない簡潔な問いについつい聞き返してしまう。
「付き合ってんの? それとも、もう突き合っちゃってる仲とか?」
「つつつつつ付き合うって誰と誰がっ。それと後の方が意味不明だし」
「えーい、中学生かあんたは。百合と後輩君に決まってるでしょ」
「そんなんじゃない。そんなんじゃない」
あたふたと手を振って、否定する。
何を必死になってるんだ私は。
でも実際、私と貴志は付き合ってるわけじゃないんだし。
その言葉に目配りをしあって、ニヤリと笑う三人。
うぅ……絶対、何か良からぬ事を考えてる。