蒼の自転車の後ろに乗って、広い背中に思いっきり抱き着いた。

「いてーよ。」

振り向いて笑う蒼の声なんて聞こえないふり。

蒼はあたしを見下ろして笑ったあと、抱き着いたあたしの手をポンポンとたたいて、「行くぞ」って自転車を走らせた。

ここはあたしの特等席。

蒼の背中にピッタリくっついて、一つになれた気がする。


あたし達はマックでお昼ごはんを食べたあと、蒼の家に向かった。

蒼の家はあたしの家から自転車で15分ぐらいの住宅街にある。

蒼の家はお父さんが単身赴任で東京にいて、お母さんが看護士で働いているから、普段はほとんど誰もいない。

あたしは蒼のお母さんとも仲がよくて、お母さんが夜勤の日は晩御飯を作って一緒に食べたりしてるんだ。