まさか羽衣本人にジェシカのことを話すわけにはいかず



だからといって今羽衣に話した内容に嘘はない。



「ジャンさん。あたし昨夜遅くまでずっと読書していたんです。続きが気になってついつい夜更かししちゃって。そしたらくまがひどいんです。とってもお見せできる状態じゃなくて…。こんな格好で失礼なのは重々わかってるんですけど…。ルカ様にはよく食べて元気にしてると伝えてください。夜更かししたなんてバレたら怒られちゃうから。」



羽衣はもう話しかけないでと言わんばかりに一気にまくしたてるとおやすみなさいと、更にその身を小さくしてしまったように見えた。



例えアリーから何も聞いていなかったとしてもジャンにはすぐにわかっただろう。



寝不足で顔が見せれないなんて、擦れて震えた声で言われたところで誰がそれを信じれるのか。


これ以上ここにいることも出来ず、来た時同様に静かに扉を開ければ戻ってきたアリーの姿。



左右に首を振ればアリーも肩を落として部屋に入っていった。