夕刻に近づくティータイム。
羽衣は今日もアリーと中庭でまったりお花とミルクティを堪能していた。
少しだけ城の中が騒ついた気がして
長く続く廊下に目をやれば
「ジャンさん!!」
遠目にもわかる。
ダークグレーの執事服をビシッと着こなしこちらへ颯爽と歩いてくるジャンの姿。
アリーの声が背中に聞こえたが構わず羽衣は走りだした。
「おかえりなさい。ジャンさん早かったんですね?」
予定では明日帰城のはずのジャンが目の前にいる。
ジャンは突然目の前に駆け出してきた羽衣に
廊下は走らないなどともっともらしい言葉が喉まで出かかったが
羽衣を見ればジャンの周囲に不自然な程キョロキョロと視線をさまよわせていて
主を探しているのは一目瞭然だった。