「うわぁ。キレイ。」
色とりどりの花々が中庭中央の噴水からかかる水しぶきを浴びてキラキラと花びらを濡らしている。
「素敵な場所でしょう?」
初めて羽衣を部屋の外へと連れ出せたアリーもご満悦だ。
「初めて来た時は真っ暗だったし、景色見る余裕なく捕まっちゃったからね。」
見逃してしまいそうな程の一瞬に羽衣の顔に影がさす。
「すみません。思い出させてしまいましたね。私としたことが配慮に欠けていました。場所を変えましょう。」
羽衣の表情にアリーは蒼白になる。
よりによってこの場所を選択してしまったことをアリーは激しく後悔していた。