「悪い。別に羽衣を責めてるわけじゃないんだ。頼むから泣くなよ……。」



ルカはふわりと羽衣の背中に腕をまわし、まるで小さな子をあやすように背中をさする。



「ルカっ。ック…。ごめっ…なさい。あたしっ……あたしっ……ヒック。」



「落ち着いて。ゆっくりでいいから胸の中にあること話してみろ。」



ソファーに促され腰を下ろし、幾分気持ちが落ち着いてきたところで羽衣はゆっくり話し始めた。


「あたし明日……正確にはあと1時間もすれば誕生日なの。嬉しい気持ちもあるのにいろいろ考えてしまって…。」



「いろいろ?」



「誕生日に思い浮べるのはやっぱり生んで育ててくれた両親のことで…覚悟はしたとはいえ感謝の気持ちとか何も伝えてこなかったことが心残りで……それからあたしはこの世界には身寄りもなくて…なのにこんな素敵なところで何不自由なく暮らさせてもらって、でもそれでいいのかなとか不安になっちゃって……。」



一度口に出せば次から次へと溢れだしてくる言葉。